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ひでかず歯科口腔外科クリニック

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口がかわく

Dry mouth

口腔乾燥(ドライマウス)

ドライマウス

ドライマウスの症状

下記のような症状でお困りはございませんか?

  • 口の中がネバネバする
  • 口の中がよく荒れる
  • 口のわき(口角)がよく切れる、荒れる
  • 舌がざらつく、赤い、ひりひりする
  • 舌の苔が白くなったり、黄色くなったりする
  • 長い時間お話をしているとしゃべりづらくなってくる
  • クッキーやおせんべいなど、乾いたものが食べづらい、飲み込みづらい
  • 食事の味を感じにくい、口の中に苦味を感じることがある
  • 口の中がにおう
  • 急にむし歯が増えた
  • 歯医者さんで十分に入れ歯の調整をしてもらっているが、入れ歯のくっつきがよくない

など、お口に上記の様な症状を感じお困りの方は、口腔乾燥(ドライマウス)がひとつの原因となっておられるかもしれません。

 

ドライマウスを生じる疾患

ドライマウスは、以下のような疾患で生じることがあります。

シェーグレン症候群

唾液をつくって出す唾液腺、涙をつくって出す涙腺の機能が障害され、唾液や涙が出にくくなるために、口腔乾燥や眼の乾燥を生じる、自己免疫疾患です。圧倒的に女性に多い疾患とされていますが、男性でも患う方がおられます。日本では、1999年に当時の厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班が定めた「シェーグレン症候群の改訂診断基準」により検査・診断が進められます。検査は生検病理検査・口腔検査・眼科検査・血液検査があり、当院では口腔検査のうち、サクソンテスト(2分間ガーゼを噛み続け、唾液量を測定する検査)のみ可能です。そのため、本疾患が疑わしい患者様は、患者様と相談の上、病院口腔外科や関係科への精査加療依頼を検討させていただきます。治療には、唾液分泌促進薬による薬物療法や対症療法が検討されることがあります。

また、既に診断を受けている方で、ドライマウスの対応に不安やお困りの方は、よろしければご相談ください。

放射線性口腔乾燥症

口腔や咽頭・喉頭、唾液腺などの悪性腫瘍に対する放射線治療により、唾液腺の障害を生じ唾液分泌量の減少が生じます。放射線性口腔乾燥症に対しては、唾液分泌促進薬による薬物療法が検討されることがあります。

加齢性口腔乾燥症

加齢に伴い、唾液腺の細胞が減少し、唾液分泌が低下すると考えられています。しかし、安静(無刺激)時の唾液分泌は低下するとされている一方、刺激時の唾液は加齢により変化はしないとも考えられています。

移植片対宿主病(Graft-Versus-Host Disease:GVHD)

白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍に対して、とくに同種造血幹細胞移植を受けた後に、唾液分泌の減少を認めることがあります。移植前処置での化学療法や放射線療法による可能性も示唆されます。

サルコイドーシス

全身の臓器に肉芽腫を形成する原因不明の疾患とされています。本疾患が唾液腺に生じた場合に、唾液腺組織の萎縮が進行すると唾液分泌の低下が生じる可能性があります。微熱、顔面神経麻痺、眼のぶどう膜炎、そして耳下腺の腫脹が生じている際には、Heerfordt症候群が疑われます。

HIV感染症/後天性免疫不全症候群(AIDS)

HIV感染症の方は、使用している抗HIV治療薬の副作用による薬剤性ドライマウスが多いとされます。耳下腺の腫脹が出現する可能性もあります。

悪性リンパ腫

シェーグレン症候群の方が、悪性リンパ腫を発症することがあります。

唾液腺の腫れが引かない、などの際には注意が必要と考えられます。また、GVHDで前述したように、悪性リンパ腫の治療においてドライマウスが生じる可能性があります。

特発性口腔乾燥症

前述の疾患を認めないものの、何らかの原因で唾液腺の機能障害が生じることで口腔乾燥を認める状態です。

神経性口腔乾燥症

抑うつ状態やストレスなどの精神の状態により、口腔乾燥を生じることがあるとされます。

薬物性口腔乾燥症

抗不安薬、抗うつ薬、降圧薬などの薬物の副作用による口腔乾燥です。唾液分泌に関連する神経系の抑制が原因と考えられています。口腔乾燥症の原因別分類の中では、最も多いとされています。

全身代謝性口腔乾燥症

脱水などによる全身的な水分の欠乏、貧血、糖尿病、腎機能の障害など、全身性疾患によるものが多いとされます。

蒸発性口腔乾燥症

口呼吸、過呼吸、開口、摂食・嚥下障害などに伴い、局所の保湿力が低下し水分が蒸発して生じるとされます。

参考文献

  • 1) 佐藤英和, 角田和之, 加藤伸, 藤田康平, 池浦一裕, 中川種昭:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を合併したシェーグレン症候群の2例. 有病者歯科医療, 22(3): 199-206, 2013.12

参考図書

  • 1)口腔内科学 永末書店
  • 2)ドライマウスの臨床 医歯薬出版

ドライマウスの治療

当院では、上記のような口腔乾燥(ドライマウス)と考えられる症状をお訴えの方に対し、詳しく問診を行わせていただき、必要に応じて唾液の量の測定(サクソン試験)や、口腔粘膜の水分の測定などの検査をご提案させていただきます。

からだの病気が関連するドライマウスが疑われる際は、おかかりの医科の先生や病院医科・口腔外科へ、精査や治療を目的に紹介をさせていただく場合がございます。

治療は、ドライマウスの症状に応じて、口腔ケアのご説明やご自身でのケアの方法のご提案を検討いたします。また適応となる疾患や症状によっては、唾液の分泌を促進するお薬や漢方薬の処方を検討いたします。

ドライマウスを伴う方の食事

シェーグレン症候群をはじめとした口腔乾燥症状にお悩みの方で、「何を食べたらよいのかが分からなくなってきた」「食べること自体がつらい」など、お食事にお困りの方がいらっしゃいます。
以下、お食事のポイントなどを記載します。少しでもご参考になりましたら幸いです。

【1】お口の中の痛みと乾燥により、食物が咬みにくい、飲み込みにくいことへの対応
食物を軟らかくす
ブレンダーなどを使用して、液体・肉汁・スープを余分に混ぜてみる。
もともと軟らかいものを食べる
調理した卵、煮込んだシチュー、パスタ、ヨーグルト、ミルクセーキ、カスタードプリン、アイスクリーム、マッシュポテト、クリーム状のシリアル、バナナ、果物の缶詰など。
粘膜を刺激するものは避ける
コショウ、チリパウダー、肉荳蒄(ナツメグ)、丁子、酸味のある果物ジュースなど。
乾燥したものは工夫する
パンやクラッカーなどは、好みの液体に浸して食べる。
食べやすい温度にする
熱すぎたり冷えすぎたりしたものは刺激が強い。
食事のときに多めの水分をとる
これにより咀嚼と嚥下が楽になり、よく味わえる。
必要に応じ、医療栄養添加物も摂る
【2】歯の健康を保持するために
バラエティに富んだ食事の量と種類を考え、必須の4栄養素を含んだ食物群(肉類、牛乳、果物、野菜と穀類)から食べるようにする
砂糖や糖分の多い食物は避ける
間食に甘い物を避け、たんぱく質や脂肪、ミネラルのあるものにする
甘くて粘着性のある食品(ガム、キャンディー、ドライフルーツ)などは避ける
食物繊維を多く含んだものを食べるようにする
【3】味覚の変化への対応
新しい調味料と新しい食物の品合わせを試してみる
食物の温度を変えてみる
食事のときに多くの水分をとると嫌な味が薄まる
シュガーレスガムやシュガーレスキャンディーを噛んだり、なめたりすると嫌な味がとれる
歯や舌のセルフケアを行い、悪い味の原因となる汚れや歯垢、舌苔を清掃する

参考)菅井進:治療食指針 シェーグレン症候群. 臨床栄養, 99(4):367-369, 1997.03